災害に強い病院を目指して
DISASTER PREPAREDNESS REPORT
当院では、いざという時に患者さんとスタッフの安全を守れる病院であるために、日頃から様々な防災・災害医療の研修に取り組んでいます。今回は、まずBCP(事業継続計画)訓練を実施し、それに続いて災害発生時における情報整理術「クロノロジー(クロノロ)」の運用方法について職員研修を行いましたので、その様子をご紹介します。
BCP訓練の実施
はじめに、災害発生時にも病院としての機能をできる限り維持・継続するための計画である「BCP(Business Continuity Plan)」に基づいた訓練を実施しました。限られた人員・資源の中で、優先すべき業務を見極め、対応にあたる体制を確認する内容となっています。
クロノロジー研修
BCP訓練に続いて、災害時の情報整理術「クロノロジー(クロノロ)」についての研修を行いました。
クロノロジー(chronology)とは、もともと「年代学」を意味する言葉ですが、災害医療の現場では「災害時に入ってくる情報を時系列で記録していくこと」を指し、略して「クロノロ」とも呼ばれています。災害現場では、様々な情報が次々と本部に入ってきます。それらを時刻とともに正確に記録し、対応内容や指示事項を明示することで、指揮者が状況を把握しやすくなり、迅速で的確な判断につながります。
講師について
今回の研修では、日本医療救援機構(MeRU JAPAN)で活動されている竹宗良太氏を講師としてお招きしました。
当法人・社会医療法人社団光仁会は、同機構と協定を締結しており、日頃から災害医療分野での連携を図っています。また、当院に所属する救急救命士も同機構に所属し、活動を行っています。今回はそうしたつながりから、実際の被災地での活動経験を踏まえた、大変実践的なお話をいただくことができました。
クロノロジー8のルール
研修では、クロノロジーを運用する上での8つの基本ルールを学びました。
- どこでも使える汎用性のある記録ツールであること
- 入ってきた情報を時刻とともに記載する
- 情報に対する本部の対応(指示)も記載する
- 発信元・発信先を明記する
- 専属の記録員を置く
- 定期的に本部要員で共有し、見直し・方針決定を行う
- 予定事項は予定時刻とともに記載する
- 速やかに電子化する
これらのルールに沿って情報を整理することで、本部長やリーダーが「聞く」「考える」「指示する」という複数のタスクを同時にこなさなくても、記録員が正確に記録を残せる体制を作ることができます。
実際の災害現場での活用例
研修では、東日本大震災の際に実際の医療現場で使用されたクロノロジーやホワイトボードの記録例も紹介いただきました。
災害初期はアナログな手書き記録が中心となりますが、混雑してくると情報が読み取りづらくなるため、随時電子化して整理していくことが有効だそうです。また、記録が難しい場面では、写真撮影による記録も推奨されていました。
おわりに
今回のBCP訓練とクロノロジー研修を通じて、災害時の体制づくりと情報共有・記録の重要性を職員一同、改めて実感することができました。
当院は、これからも定期的な訓練や研修を継続し、「災害に強い病院」を目指してまいります。
